映画『二宮金次郎』 初日舞台挨拶 実際の金次郎は身長180センチ!?

6月1日、映画『二宮金次郎』 初日舞台挨拶が行われ、二宮金次郎役を演じた合田雅吏(ごうだ・まさし)、田中美里、成田浬、犬山ヴィーノ、榎木孝明、五十嵐匠監督が登壇した。

はじめに、主人公・二宮金次郎を演じた合田雅吏が、「映画を撮り終わってから今日に至るまでに、地元・小田原に行く度に金次郎先生を祀っている報徳二宮神社にお参りに行くんですけれど、恵比寿(東京都写真美術館ホール)での上映が決まった時も、お参りに行ったら、『たくさんの人に見てもらえるから大丈夫だよ』と語りかけられたような感じがありました。今日こうやって皆さんのお顔を見てご挨拶できて、ほんとうにありがたいです」と挨拶。

金次郎の妻・なみを演じられた田中美里は、「二宮金次郎という方は銅像のイメージしかなくて、合田さんが二宮金次郎を演じられるという風に聞いた時に、『こんな大きな方が』と思いました。あの銅像の少年の頃の二宮金次郎しか知らないので、勝手に小さい方だと思っていたんです。でも実は本当に180cmだったそうで、(合田さんは)ぴったりの方だなと思いました。合田さんが二宮金次郎になっていく姿を近くで見ていると、どんどん顔つきが変わっていかれていて、それを妻としてそばで見守っていました」と話した。

小田原藩から新たに派遣された侍・豊田正作(とよた・しょうさく)役の成田浬(かいり)は、「あの当時、侍の時代が続いていて、士農工商という身分制度がまだ残っていた社会で、豊田正作は武士の身分で、彼なりの正義を一生懸命生きようとしたんだと思います。でも、明治で開国していく流れの中で、榎木(孝明)さん演じられます大久保忠真公の想いや金次郎さんの想いが時代を動かしていく中で気づかされたことがすごくあったのだろうと思います。今の社会にも繋がっている話だなと思って、江戸末期ということよりも今の自分を投影させていただいた役でした」と自分の役の背景を説明。

桜町領の百姓・岸右衛門役の犬山ヴィーノは、「初めて岸右衛門という役に向かい合った時に、初体験の三味線だとかいろんなプレッシャーがあったんですけれど、岸右衛門という男の佇まいに惚れてしまいまして、ぜひ岸右衛門を演じたいと強く思いました。初めての感覚でした」と述懐した。

小田原藩主・大久保忠真(ただざね)役の榎木孝明は、「実は製作の方にも名前を出させていただいています。五十嵐監督とは何本もやっているものですから、最初にお話を聞いて、ぜひ最初から関わりたくて名乗り出ました。キャスティングも、金次郎役はと言われた時に、私が『合田さんしかいないでしょ』というところから始まっています。今日で半分だと思います。出来上がって見ていただいて、評価していただくということがあと半分残っています。ぜひ協力をお願いいたします」と、キャスティングにも関わっていたことを告白。

五十嵐匠監督は「僕は今まで実在の人物をたくさん撮ってきましたが、二宮尊徳という方は、一番深い、一番難しい方でした。」とのこと。本作のもう一つの主役は土だそうで、「僕は大学の時に長野県に半年間レタス作りに行っていました。僕が住んでいたところのご主人が、今年の畑はレタスがどれくらい取れるのかを土をかじって判断するんです。それをかっこいいなと思い、本作では、人間の営みだとか悲しみだとかを土が見ているという形で演出できないかと思いました。」と話した。

二宮金次郎役の合田は土を食べるシーンもあったが、「実際には、土のようなものを用意はしてくれていたんです。ただ、だんだん撮影が進むほど、『土をなんで食べてはいけないのか』という感覚になりまして、『監督、いや、いいです。僕、土食べます』と普通に言いました。なんの抵抗もなかったです」と裏話を披露した。

本作で夫婦役の合田と田中は以前も共演したことがあると司会に振られると、田中は、「合田さんを殺しました」と笑いながら告白。「お風呂に沈められて、そのまま湖に捨てられるという」と付け加え、この映画では夫婦の役なので、「不思議な職業です」と話した。

雨の中のクライマックスシーンについて聞かれ、合田は、「脚本には雨の中でなみが来てくれて、顔を見合わせて二人で去っていくという文章しかなったんですが、田中さんはご自分の顔に泥を塗ってくださいました。それをされたら、自然と笑えたし、二人で行くしかないなと思いました」と、田中のアドリブに助けられたそう。田中は、「私はアドリブをするのは好きではない方なんですけれど、『一番の味方ですよ』というのを言葉でなく、伝えたいと思って、空気を変えて笑わしてあげたいと思って、自分の顔にも泥を塗って、金次郎の泥を拭ってあげるのが一番いいのかなと思いました」と話すと、合田は、「天使に見えました」と感想を言った。

敵役・豊田役の成田は、本作のために中剃りをしたとのこと。「中剃りというのは、真ん中の部分を剃って、横が残っているという中を剃るものです。撮影前は長髪だったんです。監督が『その長髪をなんとか生かしたい。中剃りして、髷を地毛を混ぜた状態で結ってくれないか』とおっしゃったので、喜んでやらせていただきました」とのこと。ただ、日常生活は「中剃りのまま街歩くわけにもいかないので」大変だった。合田さんは、「(成田さんは)普段は帽子をかぶったりウィッグをのせていたんです。顔合わせの時に僕の横にいた綿引勝彦さんが、『あいつはなんなんだ。ふざけているのか』とおっしゃって、『ふざけてはいないと思うんですけど、ちょっと変ですよね』と言ったら、(後からわかったのが、)その時すでに中剃りだったんです。それを聞いた時に綿引さんが「そうかぁ。ちょっと悪いことを言ったな」とおしゃっていた」と話すと、会場には笑いがおきた。

敵役・豊田役の成田が、「現場で合田さんと会うんですけれど、役があるからか、挨拶もまともにできず、すごく距離がありました」と話すと、合田も、「柳沢慎吾さんだとかもいて、豊田以外とは和気藹々とやっていたんですけれど、どうしても豊田とだけは自分もしゃべらない方にいってしまって。だから、撮影中ほとんど会話していないです」と緊張感のある現場をうかがわせる発言も飛び出した。

妻のなみが金次郎の想いを伝えるという感動的な場面について田中が「あそこが実は一番緊張していました。みんなが反対というか、二宮金次郎に対していいように思っていない人たちと、歩み寄ろうかという人たちがいる中で、説得しなくてはいけないというのは緊張しました。たくさんの男性軍が周りを囲んでいたので怖かったです」と話すと、そのシーンが見せ場だった犬山は「田中さん演じるなみの目にやられて、自然に演技ができました」と返した。

榎木は何本もご一緒した五十嵐監督が二宮金次郎についての映画を撮ると聞いた時について聞かれ、「私は時代劇の復活の運動をしているんですけれど、まだまだ出てきていない偉人が日本にはいっぱいいます。(演じた)大久保忠真公がしたこともすごいことなのに、ほとんど知られていない。日本には隠れた偉人がいっぱいいて、その中の筆頭が二宮金次郎だと思います」とこの映画の意義を説明。「歩きスマホに繋がるとも言われますが、この映画を通じてまた新たに金次郎が見直されたらいいなと思います」と話した。

演じた大久保忠真公については、「調べれば調べるほど素敵な方なので、出番が少ない中でどういう存在の仕方をするかは大きい課題でした。もう一つ、品格にこだわりを持ちたいといつも思います。藩主とか上に立つ人たちの醸し出す雰囲気には品格が感じられたらと思います。忠真公がいなかったら二宮金次郎は世に出ていないんですよ。そういう雰囲気を心の中に思いながら演じました」と話した。

最後に監督が「実力のある映画人はたくさんいらっしゃるので、もちろんテレビはありますけれど、映画というものを大切に、その熟練した技術を後世に残したいです。それを見守っていただければと思います」と熱いメッセージを送り、舞台挨拶は終了した。

公式サイト:ninomiyakinjirou.com
(c)映画「二宮金次郎」製作委員会